「自己破産」に関するお役立ち情報
自己破産した場合の養育費の支払い
1 破産手続における未払養育費の扱い
例えば、破産手続が開始した時点で未払いとなっている養育費が50万円ある場合、この養育費請求権の破産手続における位置づけは、貸金返還請求権(ローン、キャッシングの債権)や立替金返還請求権(ショッピングの債権)と同じになります。
つまり、養育費の支払先に当たる元配偶者の方も、他の債権者と同様に扱う必要があります。
そのため、未払養育費がある場合は、債権者一覧表に債権者として元配偶者の氏名および住所等を記載しなければなりません。
そして、手元の資産や預貯金の配当が行われる場合は、養育費請求権についても配当率に従った配当が行われることになります。
例えば、未払養育費が50万円で、配当率が5%の場合、債権者である元配偶者は2万5000円の配当を受けることになります。
2 養育費は支払い義務が残る
配当の後に残った債権については、破産者について免責を許可する決定が確定すると、支払義務を免れることになります。しかし、養育費請求権については、この免責の効果が及ばない、「非免責債権」とされています。
つまり、自己破産を行って免責が許可され、残った借金の支払い義務が免除されたとしても、養育費の支払い義務は残るということです。
そのため元配偶者は、免責を許可する決定が確定した後も、義務者に対して養育費の支払いを請求することや、強制執行をすることが可能です。
このように、未払養育費については破産しても支払義務を免れることはできませんが、養育費は公正証書や調停で取り決めた内容の金額が合意した終期まで発生し続けることになりますので、減収等により養育費の支払いが困難になった場合は、直ちに養育費の減額を求める調停を提起して養育費の金額を下げておくことが重要になります。
3 破産手続き中の未払い養育費の支払い
弁護士に依頼をして破産手続の準備を始めますと、債権者(貸金業者等)への返済が一時的にストップされます。
この際に、未払いの養育費を支払うことについては、問題ないのでしょうか。
破産債権は、破産手続で平等に扱われますので、特定の債権者のみに返済してしまうことは偏頗弁済と呼ばれるルール違反となります。
もしも貸金業者等への返済をストップした後に親族からの借り入れのみ完済したような場合は、特定の債権者のみに返済する行為にあたります。
この場合、破産管財人が、返済を受けた親族に対し、返済を受けた金額の返還を求めることになります。
しかし、養育費について未払いがある方が、貸金業者等への返済をストップした後に未払いとなっている養育費について支払いをした場合は、子を監護するための費用という養育費の性質上、その金額が不相当に多額でない限り、偏頗否認行為の対象にはならないと考えられています。
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